松本)まず、鯛ラバの基本となる釣り方はバーチカルですね。鯛ラバを真下に落とし、着底したら巻き上げ、そして再び着底させる。非常にシンプルで簡単、ルアーをアクションをさせる必要がないところに、今までルアーフィッシングに慣れ親しんでいない年配の方や女性が手軽に楽しめるところに魅力があると思います。そして最大の魅力は、初めての方でも、真鯛を手にすることができるところではないでしょうか。真鯛釣り=難しいという概念がありましたが、この釣りはそれを覆した方法だと思います。しかも餌釣りに比べてサイズが大きい。50アップを手にすることだってイージーですね。私は何度も始めて鯛ラバをされた方が、いきなり50アップや60アップを釣り上げているのを見たことがあります。小学生の子供が、大人を差し置いて40アップ、50アップを続けて釣ったり・・・
大塚)
そうですね。手軽に釣れてしかも大きな真鯛が釣れる!真鯛以外にも、様々な魚も釣れますしね。
ほんと外道もよく釣れますね。外道というよりメインになりそうな魚ですけど・・・。僕は、真鯛以外にマゴチ、ヒラメ、ハマチ(メジロ)、シーバス、ホウボウ、ハゼ、タチウオ、アコウ、ガシラ、アイナメ・・・挙げればきりがないくらい釣っています。大塚さんもそうでしょう?
ええ、ほんと記憶しているだけでもものすごい魚種ですね。玄界灘では、鯛ラバではなく、鯛ラバにヒットした魚にカジキマグロが食いついてきたらしいですよ(笑)
さてさて、話がそれましたが、バーチカルの基本は「真下に落として着底したら巻き上げる。そして再び着底させ巻き上げる。」の繰り返しです。その動作次第は簡単なのですが、この釣り方で一番分かりにくいのは「いったいどこまで巻き上げればいいの?」ですね。
基本的なことは、
1)まず船長に真鯛の反応を確認し、底から何m巻けばよいのか教えてもらう
2)自分のリールのハンドル1巻きのおおよその長さを覚えておき、真鯛の反応があるゾーンを巻き上げる
3)さらに釣れた人がいれば、底から何回転(何m)でアタリがあったかを確認し、そのゾーン周辺を巻き上げるようにする
ですね。
例)以下の図では、底から5m〜10mに真鯛の反応があります。自分のリールの1巻が約70cmとすると、反応がある真鯛の一番上が10mなので、<1000÷70=約14>ですので着底後、約14巻すれば、反応のあるゾーンを通せるということになります。
あとは状況に応じてそのゾーンを変えること。多彩なパターンがあると思いますが、その解説をしていただけますか?
基本的には、真鯛はボトム周辺を回遊している事が多いので、当然のことながらボトム中心(ボトムから10m)の攻めで良いのですが、地形やベイトの種類、その他様々な要因で真鯛はボトムから離れ浮き出す事があります。当たり前の事ですが、このような時、ボトム中心の釣りを展開していると良い釣果を得る事ができません。特に大型の真鯛になればなるほど、他の個体より上層にスイッチしている事が多いのです。魚探などがあればこのような状況を逸早く発見し対応する事ができます。自分の乗った遊漁船で見やすい位置に魚探があったり、探検丸を搭載してあったりするとよいのですが、なかなかリアルタイムに真鯛の反応を肌で感じる事は難しいのが現状です。魚探を見ることができ、真鯛のレンジや活性が分かれば鯛ラバを通すレンジも決まり的が絞りやすいのですが・・・そこで魚探を見なくても、真鯛が浮きそうな状況を知っておけば、ある程度対応できるテクニックをご紹介します。
まずはベイトがイワシなどの小魚の場合。イワシなどは表、中層を回遊する事が多く、それに伴い真鯛もボトム付近から捕食するため浮き上がるのです。
もう一つは海峡などで潮速が速く、その潮流がある程度の高さのあるブレイクに垂直に近い角度で当たる時、ちょうどブレイク上部に渦ができ底にいたエビやカニなどのベイトが中層に舞い上がる為、活性が上がった真鯛が浮きやすくなるのです。
また過去に一度でも30回、40回とリーリングをした時にバイトがあったり、もしくは釣れた場所は何らかの原因で真鯛が浮きやすい地形と考えても良いでしょう。(現に真鯛が浮く場所、浮かない場所というのが存在します)。
以上このような時、私が良く釣行する加太、鳴門、明石のエリアでは、時によっては水深に関係なく水面から15mぐらいまで浮いてくるので狙うポイント、水深にもよりますが魚探が見れなくでも、さきほど述べたようなシチュエーションの場合は、いつもより狙うレンジの幅を拡げてみるのも同船者に勝つ秘訣の一つではないでしょうか。
次に巻き上げるスピードですが、その日の状況によって使い分ける必要があると思います。大塚さんはどのような状況で、どのようにスピードを変えたりしていますか?
その日、その時のベストなリーリングスピードというものがあり、ルアーのカラーと同様、釣りをしながら探していくのがセオリーというか、この釣りのキモみたいなところでしょう。バイトの強さや回数などはスピードを変えることにより変化します。もちろん真鯛の好むスピードも時間とともに刻々と変化し、その時々で微妙に変化しますが、基本的には低水温時などで活性の低い時はスロー、逆に適水温時にイワシなどを追っているような高活性時には速いリトリーブスピードを心掛けています。
私の使用しているジリオンPEスペシャル100Hでリーリングした時、速くリーリングしても真鯛はバイトしてきますが、バイトの数やフッキング率を考え1回転/0.5秒ぐらいがバランスよさそうに思います。またスローの時は限界が1回転/4秒のスピードでとかなりスローにリーリングしています。もちろんコレはネクタイの動く一番遅いスピードで、いくら冬でも最初からこんなに遅くリーリングはしませんが・・・具体的には冬なら1回転/2秒程度から始め、さきほど述べたようにバイトの強さや数を考慮し、より良いスピードを見つけていきます。
しかし、ここで詳しく書いても相手は自然。その場の状況で当てはまらない事も・・・常に頭を柔らかく柔軟な対応をしなければなりません。簡単にざっくりと夏は速く冬は遅くと心掛けると良いかと・・・その日その時のベストなスピードを見つけることが一番大切なのです。何かちゃんとした答えになってなくてスミマセン。その場にいれば答えようがあるのですが・・・いろいろな所に釣りに行っていますので、港や船で見かけた時は気軽に声を掛けてください。分かる範囲で何でも答えますんで(笑)
最後にバーチカルの釣りで気をつけていただきたいことですが、ただ単に真下に落とすだけでは真下に落ちない時があります。これは、潮の流れや風で船が流されたりしているので真下に落とすだけでは、実は斜め前や後ろ、左右に向かって落ちる時があります。斜めに落ちると、それだけ余計にラインが出るわけで、アタリが取りにくくなったり、着底が分かりにくくなり根がかりしやすくなる、さらにオマツリの原因になります。これらを避けるために、以下の点にご注意ください。
1)最初にカブラを真下に落とし、どの方向に流れているかを確認する。
2)方向を確認したら、流れている方向と逆の方向に少しキャストする。(右なら左という具合に)
3)カブラがかなり流されたり、隣の人とオマツリしそうになったり(隣とのラインの入り具合で確認)、船底にラインが干渉しそうになれば、一度巻き上げて再度流れている方向と逆の方向にキャストしやり直す。
さて、次回はキャスティング鯛ラバについて語りたいと思います。