新鮮でおいしい魚を食べることができるのは釣り人の特権です。最近では、よりおいしく食べてもらうために遊漁船の船長が下処理をしてくれる船が多く見受けられます。魚をおいしく食べるためには、この下処理が重要です。
下処理とは、魚が生きている状態で脳締めして魚の血を抜き、神経締めをして内臓を取り去ること。これらの処理をすることで、鮮度を保ち生臭さを防ぐことができます。(死んだ魚では脳締め、血抜き、神経締めをする意味がなくなりますが、内臓を取り去ることだけでも意味があります。)
脳締めと血抜き
脳締めして血をしっかり抜きましょう。血液の臭みが筋肉や脂肪に残ると味が落ちることを防ぎます。
神経抜き
釣った魚の鮮度を保つ上で重要です。氷を入れたクーラーボックスで持ち帰りさえすれば鮮度が保たれるわけではありません。神経締めをする理由を詳しく解説しているサイトがあるので、詳細はこちらでどうぞ。
内臓(できたらエラも)を除去して氷締め
これ本当に重要です。多くの方が「血抜きしてクーラーボックスに入れて終わり」です。なぜなら一番面倒で時間もかかるし手も汚れるからでしょう。しかし、内臓を取る、取らないでは「身の臭み」が全然違うんです。
すごく分かりやすいのが夏場です。「血抜きしてクーラーボックスに入れて終わり」で持ち帰って内臓を取り出そうとすると、すごく臭いがします。その臭いは腹の身の部分にも移っています。もはやお腹の身は刺身で食べられたものではありません。魚の身の部分で一番おいしいと言っても過言でない部分が残念なことになるのですね。
ではなぜそうなるのか?魚の内臓はもともと臭いがキツイから?
いえいえ、確かに内臓に臭いはありますが、活け締めしてすぐに取り出すとさほど臭いがしないんですね。実は内臓は時間の経過と温度によって腐敗が進行して臭いを発するようになります。
内臓には消化酵素が含まれます。食べたものを消化する物質です。これが腐敗を進行させる原因です。自分で自分を消化するようになるのですね。そのことがすごく分かりやすい例として、エビが挙げられます。生きているエビの尻尾を取ろうとするとなかなか取れないですよね。踊り食いをする時には捻りとるようにしないと取れません。それが死んでるエビだとスルっと抜けますよね。これは内臓の酵素による自己消化が原因なのです。
消化酵素が作用するには最適な温度があります。この温度を「至適温度」というのですが、例えば人間が持つ酵素は37度くらいです。ここで夏場というのに繋がります。夏場は気温が高いし水温も高いので血抜きしてクーラーボックスに入れてもなかなか内臓の温度が下がりません。そうです、消化酵素が働く時間が長いので腐敗が進行しやすいのです。ですから夏場は特に腐敗が進行しやすいのです。
内臓を除去したらさっと氷締めしてクーラーボックスへ。これで完璧です。どうです?いつもよりおいしいでしょ?