松本)さて、前回はこの釣りの基本「バーチカル」をご説明しましたが、今回は「キャスティング」についてお話したいと思います。
「キャスティング」はその名の通り、鯛ラバをキャストして横引きする方法です。ジグの横引きと同じで、船のプレッシャーを避け、かつより多くのヒットゾーンを生み出せる釣り方です。タックルはバーチカルで使うタックルのままで十分ですね。ただ、リールはキャスティングしやすいバスフィッシングタイプのものをおすすめします。
次にこの釣りのセオリーですが、潮の流れる方向に対し、流れに逆らう形で鯛ラバをリーリングできる方向にキャストすること。通常、魚は流れに頭を向けているので、魚の後方から前方へと鯛ラバを通す形になります。目の前を通り過ぎたベイトが前方に移動するので、魚もそのままの体勢で餌を追いかけられるということです。逆だと、後方に移動するので反転して追いかけないといけません。こうなるとよほど活性が高くない限り、追うことをしないでしょう。
では、大塚さんにさらに詳しい説明をお願いします。
大塚)まず、タックルですがロッドはグラスのコンポジットのようなトルクのあるロッドを使用してください。重く空気抵抗の少ないルアーを投げる時、カーボン含有率の高いロッドだとルアーの重みをロッドに乗せにくく折れたりする恐れがあるからです。
このような場合私は、ジャッカル・ポイズンオーシャンTKC-65MLGというコンポジットロッドを使っていますがアンダーキャストで軽く投げてもブランクス全体でルアーを飛ばしてくれ飛距離も出て大変重宝しています。逆にリールですがキャスティング出来て気に入っている物ならばこだわらなくてもいいです。
次にキャスティングに有効なシチュエーションですが、一見、キャスティングされボトムに着いた鯛ラバはボトムから自分の方に向かって真っ直ぐ斜めにリトリーブコースを取っているように思われがちですが、
実際はそうではありません。
キャストする距離にもよりますが潮流などによる水圧、引力などにより出だしはボトムを這うようにコースを取り自分に近づくに連れ徐々に上方にコースを取るのです。
このことからも分かるように、真鯛がボトム付近に貼りついている状態で使うのが好ましいでしょう。逆にそれ以外でキャスティングしてもあまり効果はないです。
次によく聞かれる質問「キャスティングで釣りができる水深はどのくらいですか?」ですが、水深はもちろん、潮の速さや海底の状況によって変わってくると思います。私がキャスティングをする時のおおよその目安はこのような状況です。
1)水深は30メートル以内(底取りの状況により30メートル以内でもしない場合もある)
2)海底の起伏が大きくない場合(根がかり回避)
3)二枚潮でない時
大塚さんの目安はどうですか?
私の場合、水深25m以内で真鯛がボトム付近の狭いレンジにしか反応がないときだけキャストしてます。理由は先程も述べましたが、この釣り方の一番のメリットはシャロー(25mまで)のボトム付近を上手くトレースできるところなのです。あまりディープだと、自分の位置とボトムに着いた鯛ラバの位置がよほどのロングキャストをしない限り、垂直に近いものになりその効力を出せないからです。
あとキャスティングのメソットを詳しく言いますと、キャストしボトムに着底したらすぐに巻き始めます。10m程リーリングしたらクラッチを切りボトムに落とし再びリーリングするのですが、この動作を2、3回繰り返すと自分の真下までルアーが来ているのでもう一度巻き取りキャストするといった感じです。
次にリーリングに関してですが、スピードや巻き上げる水深はバーチカルを参考にしていただければ良いと思います。ただ、横引きなので、バーチカルよりもさらに巻き上げる必要があります。目安としては、リーリングしてフォールさせる時にどのくらいラインが出て行くか?を参考にすれば良いと思います。
まずその感覚を覚えるために、一度バーチカルで10回転巻いて落とし、次にキャストして同じ動作をすればよく分かると思います。明石などでは水深10メートル未満のポイントを狙うこともありますので、キャストして一度もフォールさせることなくピックアップしたりもしますね。
大塚さんはバーチカル、キャスティングともにどちらもできる状況であれば、どのような組み立てをしますか?またその理由も教えてください。
どちらも釣れるなら、よりストロングな方を探します(笑)例えば、シャローでバーチカルをしていてリールを5回巻くまでにバイトが集中しているようなら、迷わずキャストしますし、そうではなく真鯛のレンジが明らかにボトムを切っているならバーチカルで狙います。
あと乗合船などでは、周りの動向を見て皆がキャストしていたらバーチカル、逆に皆がバーチカルで狙っているのならキャスティングにし、できるだけフレシュな真鯛を狙うように心掛けています。
最後に、キャスティングに関しては必ず船長に確認してから行ってください。また、周囲の人々に気をつけて怪我やトラブルにならないようお願いします。
さて、次回は「アタリ」について語ろうと思います。