前回、パワータックルについて説明しました。
パワータックルを使うと少々強引なやりとりも可能になります。
ただし、注意が必要です。
ラインシステムを太くすることでドラグも締め気味にしてファイトすることは可能なのですが、
1)身切れによるバラシ
口の中などの硬い部分であれば大丈夫なのですが、唇周辺に掛かっていればかなりの確率で身切れします。
2)内臓損傷(破裂)
真鯛は浮き袋の調整がそれほどうまくなく、こちらの都合でガンガン巻いて素早く取り込むことによって浮き袋が膨張し内臓を圧迫して肛門や口から内臓が飛び出したり、ひどい場合には内臓が破裂することがあります。そうなると、リリースはもちろん、生け簀に入れて生かすことすらできません。(内臓が少し飛び出すくらいなら生き続けますが。)
3)フックが折れたり伸びたりする
フックの強度が問題です。これについては後に説明します。
パワータックルではこれら3つの問題が起こります。
私が推奨するパワータックルとは、以下のような使い方です。
■パワータックルを必要とする場所で
前回説明したように、根ズレによるリーダーの損傷が激しい場所や起伏が激しく少々強引なやりとりをしないと勝負にならない、青物が多くファイト中に同船者とオマツリになる等、パワータックルを必要とする条件がある場所で使うと考えています。私は基本PE0.6号、リーダー12lbで全国のフィールで釣りをしており、ナナマル以上を多く釣っていますがラインブレイクをしたことは思い出すことができない程、極めて少ないことです。ラインのメンテナンスをしっかりしてある程度使用したら(状況にもよりますが、釣行10回くらいが目安)、裏巻きをします。リーダーに関しては必ず毎回細かくチェック。少しでも傷がついていれば結び直す。メインラインとリーダーの結束は毎釣行ごとに結束し直す。この状態を保っていれば、例え10kgの真鯛が掛かっても獲る自信は十分にあります。みなさんが思っている以上にPE0.6号、リーダー12lbの強度はあるものです。
■掛けた後はやさしく
先日の天草でもそうでしたが、ある程度やりとりをしたらドラグを緩めてゆっくりと巻き上げます。ある程度のやりとりというのは魚が浮き始めたタイミングで良いと思います。
前回と今回の記事でパワータックルの意味、使い方をご理解いただけましたでしょうか?
さて、パワータックル/ライトタックルに関わらず問題になってくるのがフックの強度。
ライトタックルでドラグも緩め、ゆっくりと無理せずファイトしたのにフックが伸びたことや、イワシベイトのシーズンに特に多発する「噛み潰され」。
フックはきちんと貫通して始めてその強度を発揮しますが、貫通していない、いわゆる先だけが掛かっている状態では極端に強度が落ちます。
噛み潰される現象は、真鯛の歯や噛む力というのは相当なもので特にイワシがベイトの時は「一発噛み付き」になり、いとも簡単に噛み潰された状態となります。
そこで、どうしてもこれらに対応するためにはフックを太く強度のあるものにせらずを得ません。
ですが、そうすることによって「貫通させる」ことが難しくなります。
普段、私はできるだけ細軸のものを使用するようにしています。
もちろん問題はないのですが、
1)大型が多いフィールド/シーズン
2)水深が深いエリア(50mを以深もしくはドテラ流しでラインが50m以上出る場合
3)イワシがベイトの時
の場合は、太軸のものを使用しています。
さて、太軸のもので「刺さり/貫通性/強度」の3つを追い求めて、相当たくさんいろいろなものを試してきましたが納得できるものは見つかりませんでした。
ですが先日の遠征で「これは!」というものがようやく見つかり、テスト結果も上々。
特に「伸びること」に関してはテスト段階でまだ一度も確認できていません。
フッキングも問題なし。
少し「ここは改良の余地があるな」と思ったくらいです。
ここまで話をしておきながら、残念ですが現段階ではそのフックがどんなものなのか?はお話できません。
テストもまだまだ積み重ねたいですし、その時期が来たらお伝えします。
テスト段階で納得行かなければもみ消しますが(笑
さて、太軸を使った際ですが、この場合は「しっかりとしたアワセ」が必要だと感じています。
そのアワセとは「巻きアワセ」。
鯛ラバから少し遅れて「ひとつテンヤ」が流行しましたよね?
テンヤって親針(大きい方の針)に良く掛かるのですが、あの針って鯛ラバアングラーから見ると相当な太軸です。
タックルはというとロッドは鯛ラバよりもさらに繊細で柔らかいティップですし、ラインシステムはPE0.6号、リーダー12lbと同じ。
それであの親針にしっかり掛けているんです。
それなら鯛ラバで少々太軸のフックを使っても掛けることができるのでは?と思い、巻き合わせをやってみた結果、なかなか良い結果が出ています。
※巻き合わせとは、リールのハンドルを巻きながらアワセを入れるテクニックです。
ただ、問題はベイトタックルではやりにくいこと。
逆にスピニングタックルでは簡単にできます。
さらに、ラインスラッグが多く出る釣りなのでハイギアのリールが有利だと感じています。
巻き合わせを入れたあとは、真鯛が走ろうがテンションを保つためにハンドルを巻き続ける。
もちろん、ドラグの調整は緩めでいいです。
パワータックルの場合は最初はドラグを締め込み気味で、後に緩めてファイト。
お盆の遠征はパワータックルと太軸フックの有効性を感じ、ナナマル前後のサイズを針を変えずに何枚か釣って好感触を得ることができました。
まず同じフィールドに通い続けていたら、ずっと気付かないままだったと思います。
みなさんもぜひいろんなフィールドで鯛ラバをやってみてください。
そこには独自の理論で進化を遂げた新しい鯛ラバが待っています。